4月のうまいもん/神戸元気サーモン
酒粕効果で、すくすく育った神戸の新名産
最近関西のメディアで「神戸元気サーモン」の話題に触れる機会が増えました。その一つの理由は、「東須磨サーモン部会」が酒粕プロジェクトの発表会に参加している事にもあるようです。神戸市須磨区の漁業者で構成される「東須磨サーモン部会」では、2021年からご当地サーモンの養殖を始めています。当初は愛知淡水よりニジマスの稚魚を仕入れ、妙法川河口域に冬場に向けて生け簀を設置。そこに稚魚を放流し、春まで養殖をしていました。初めは一般的なシラスを餌にして養殖していましたが、メンバーの奥谷知生さんらが「せっかく東須磨で養殖するのだったら神戸らしい取り組みをしたい」と言い出し、餌に工夫を施す事を思いついたようです。神戸だけにパンくずを餌に混ぜるのを思いついたようですが、ある人から「パンにはバターが含まれているので餌として与えるとニジマスが糖尿病になる恐れがある」と指摘されたそう。そこでパンくずは断念。そこで、日本一の酒どころである灘の日本酒に注目し、「酒粕」ならどうだろうと考え、神戸酒心館へ相談に訪れたのが事の発端でした。
酒粕は、ご存知の通り日本酒づくりの過程でできる副産物。もろみを搾ると使用した原料米の約70%が液体になり、それが清酒となります。残りの約30%が固体として残り、それが酒粕になるのです。我々関西人は、冬場になると酒蔵から出る酒粕を買って家庭で粕汁などを作るのが当たり前の習慣ですが、実は酒粕の調理利用は一部地域を除いては関西特有の食文化。全国のほとんどの地域では漬物の材料に用いるのが関の山で、いわゆる産業廃棄物として処理されている事も少なくありません。ただ、「かす」とは名が付くもののタンパク質、ビタミンB1・B2、B6、葉酸、パントテン酸、食物繊維と栄養素を多く含み、健康面においても効果的といわれており、まさに“日本のスーパーフード”と言っても過言ではない程のスグレモノなのです。そんなスーパーフードを餌に混ぜるわけですからニジマスとていい効果が出ないわけはありません。
2022年に「東須磨サーモン部会」では、「福寿」酒粕を蔵元から仕入れ、サーモンの餌に混ぜる事に。それと同時に酒粕プロジェクトにも参加するようになりました。ミキシングした酒粕をペレットに混ぜて与えてみると、その喰いもよくなってニジマスもすくすく育つようです。奥谷さんら「東須磨サーモン部会」の目論見は見事にはまり、翌春出荷するサーモンには好結果を及ぼしました。育った「神戸元気サーモン」を捌いてみると、身は鮮やかなオレンジ色に。一般的な餌を与えたサーモンが赤色になるのと比べると、明らかに差が出ています。味も脂っぽくなるし、あっさりめ。生で食べても独特の鱒くささが感じられません。捌いた「さかばやし」の大谷直也料理長をして「鱒くささがなくて造りにも使える。生で食せる利点が出た食材だ」と高く評価していました。
神戸市漁業協同組合に属する東須磨底曳き会の漁師で構成される「東須磨サーモン部会」の話では、「2025年春に出荷を予定しているサーモンは、鳥取県からスチールヘッド(ニジマスの稚魚)を仕入れて11月に放流した」そうでより期待が大きいとか。スチールヘッドは、頭部が黒銀色に輝いた降海型のニジマスで、海中生活に慣れ易く、大きくなる率が高いらしいのです。ならば、これまで以上にすくすく育ち、大きくなると思われます。「神戸元気サーモン」の養殖は11月~5月初めまで。水温が20℃に達するGW明けには、いかだを撤去して今年度の養殖を一旦終了します(2026年の春出荷分は今年の11月の養殖からスタート)。
まさに4月は、「神戸元気サーモン」にとっては旬。この時期に「さかばやし」では、福寿の酒粕を食べて育った「神戸元気サーモン」を東須磨サーモン部会より直送いただき、会席料理の一部や一品料理で提供します。また、「神戸元気サーモン」のしゃぶしゃぶ鍋も要予約で提供も可能です。ぜひこの機会に神戸の新たな名産品「神戸元気サーモン」を「さかばやし」にてお楽しみください。
(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)
2025年4月
料理長おすすめ「神戸元気サーモン」の一品
■神戸元気サーモンと春野菜の苺酢掛け 950円
■神戸元気サーモン木の芽味噌和え 980円
■神戸元気サーモンのお造り 1,350円
■神戸元気サーモンの炙り 1,350円
※おすすめの一品は予約にて承ります。価格は税込価格です。
※写真はイメージです。