神戸酒心館

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【阪神淡路大震災から30年】『震災からこれまでの道のり』

神戸酒心館SDGsへの取り組み

阪神淡路大震災から30年。
震災により蔵の倒壊など大打撃を受けた当社も、本当に多くの方々からのご支援のおかげで、今なお伝統の酒造りを続けさせていただいております。
30年という節目の年を迎え、支えてくださった皆様に感謝の意味を込めまして、これまでの歩みをご紹介させていただきます。
これからさらに飛躍し、地域に貢献できるよう社員一同邁進してまいりますので、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。

≪震災前の酒蔵風景≫
当社は灘五郷の西に位置する「御影郷」にあり、六甲山より海に流れる石屋川沿いに江戸時代に建てられた壱号蔵がございました。
この古い木造蔵で灘伝統の生もと造りが行われ、界隈はタイムスリップしたように古い蔵が立ち並ぶ長閑な一帯でした。
テレビや映画の撮影の舞台にもなるなどノスタルジックな雰囲気を醸していました。


≪震災直後の様子≫
1995年1月17日の早朝、兵庫県南部を中心としてマグニチュード7.3という巨大地震が発生し、灘五郷一帯のほとんどの木造蔵が全壊しました。
石屋川沿いの壱号蔵も全壊し、その無残な光景を見るといったい何が起きたのか全く分からない状態で、ただ茫然とするほかありませんでした。
建物は全壊したものの、蔵で働く人たちが奇跡的に無事だったことが何よりの救いでした。

≪復旧作業≫
蔵が倒壊したために通行できなくなっていた公道のがれき撤去や、周辺住民の方々に蔵の仕込み水を提供したり、、できるところからの復旧作業がはじまりました。

≪蔵の再建≫
戦時中、酒造りができないなど数々の苦難を乗り越えてきたことを思えば、この震災で福寿の歴史を決して終わらせてはならないと不屈の精神で蔵の再建を決断しました。

≪四つの蔵からなる複合施設≫
再建にあたり、これまでのように酒蔵はただ、酒造りをするだけの場としてでなく、お客様にお越しいただけるような魅力ある場にしたいという方針を決定。酒造りの心臓部である醸造蔵を中心にショップや飲食施設、ギャラリー、酒蔵のイベントホールなどを併設した蔵を再建し、1997年12月20日に「神戸酒心館」が誕生しました。


≪神戸酒心館が再出発にあたり、取り組んだこと≫
・日本で初めての免震構造の酒蔵を建設
阪神大震災と同規模の地震が発生しても酒造りの灯は消してはならないと、日本初の免震構造を取り入れた酒蔵を建設しました。



・木造蔵の保存
本社敷地内にあった木造の貯蔵蔵も大きな被害を受けましたが、何としても遺したいという強い思いで、イベントホールとして再出発しました。現在の酒心館ホール(
(豊明蔵)です。
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・古材の活用
石屋川沿いの壱号蔵で使われていた古材を新しい建物にも活用しました。
神戸酒心館では、今もなおかつての面影を感じ取っていただける場所に出会うことができます。
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・酒蔵の町並みの保全
失われた町並みを少しでも取り戻せるよう、古い蔵の移築や建物に黒板塀を取り付けるなど景観の保全に努めました。
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また、近隣の事業主様のなかには所有の商業施設や事務所に屋根瓦を取り付けたり、酒蔵をイメージするような配色の壁面を設けるなど周辺の景観に配慮していただいており感謝申し上げます。

≪新しい蔵で酒造りを再開≫
再建した新しい蔵での仕込みは1997年秋から。少人数でも手造りの酒造りが行えるよう、蔵人の導線も配慮した新しい蔵が完成。酒造りができる喜びをかみしめながら、無事に誕生したしぼりたての新酒の味わいは今でも忘れられません。
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≪新しい酒蔵が地域の街づくりに貢献≫
1997年12月にオープンをしたその翌年、神戸酒心館の新しい酒蔵が震災復興の先導的役割を果たしたことと神戸の建築文化を高め美しい街づくりに貢献したことで「神戸市建築文化賞 復興建築賞」などの賞を受賞しました。

≪皇室・海外の賓客をお迎えしました≫
■高円宮同妃両殿下 ご来臨(1998年)
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■フランス・シラク大統領(当時)夫人 ご来館(2005年)
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≪海外へ輸出を開始≫
2005年より英国への輸出を再開し、海外にむけて当社のお酒の輸出が新たに始まりました。
ユネスコの無形文化遺産に2013年に「和食」が登録されたため、今では世界各国で「和食」の評価が高まりつつあり、日本酒の認知度もますます広がってきています。
現在では約15ヵ国以上の福寿のお酒が輸出されています。

≪世界的行事で提供される栄誉に輝く≫
毎年12月にスウェーデンストックホルムで開催されるノーベル賞受賞式。
2008年より、ノーベル賞授賞式後の公式行事で「福寿 純米吟醸」が提供され、これまで11回の振舞われました。

≪全国新酒鑑評会で金賞を受賞≫
新しい醸造棟「福寿蔵」での酒造りを開始してから2年後の1999年(平成11年)に全国新酒鑑評会において金賞を受賞。
この年を皮切りに6年連続金賞を受賞するなど、これまで通算20回の受賞をしています。

≪社員による酒造り≫
2006年に杜氏制度を廃止し、2007年より社員による酒造りに移行、データ化された管理プロセスと新技術の導入で高品質な酒造りを安定化させ、早朝の勤務や深夜の勤務を行わない酒造りを実践し、働き方改革も実現しました。

≪インターナショナル・ワイン・チャレンジ 兵庫 2016年≫
2016年のインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)で「福寿 寒造り 本醸造原酒」と「壱 生酛純米酒」が金賞をダブル受賞し、「壱 生酛純米酒」は兵庫トロフィーを受賞。
これにより国際的な評価を得て、輸出市場拡大とブランド価値向上に繋がりました。


≪農業の多面的価値を軸に広域な連携≫
神戸市北区大沢地区の農家と連携し、山田錦を使用した酒造りを推進することで地域農業の活性化と持続可能なサプライチェーンの確立を目指し、地域経済と農業の持続可能性向上に貢献しています。

≪サステナブル経営≫
神戸酒心館は、品質向上と持続可能な生産を両立させ、経済価値と環境価値のバランスを重視したサステナブル経営を実践し、2010年からの7年間で生産量を3倍に増加させる一方で、エネルギー使用量とCO₂排出量を12%削減し、水の使用量増加を35%に抑制しています。

≪環境価値と経済価値の両立≫
生産数量は7年間で約3倍に増加。
しかしながら、7年間でエネルギー使用量は12%減、水使用量は35%増に抑制、CO2排出量は12%減。

≪エコプロアワード 財務大臣賞受賞≫
生産工程のデジタル化により、品質と生産性向上、さらに地球温暖化防止、水資源の保全と節水、酒粕の再利用、ビン(ボトル)の再資源化、生物多様性への配慮、有害物質への対応に取り組むなど、環境価値と経済価値を両立したことが評価されました。

≪カーボンニュートラルへの挑戦≫
2022年10月に世界初のカーボンゼロ日本酒を発売し、再生可能エネルギーとカーボンニュートラルな都市ガスを使用して醸造工程のCO₂排出をゼロにし、フードサプライチェーン全体の脱炭素化に貢献しています。

≪節水技術の積極的な導入≫
ジェット式気泡技術や水の再循環方式を導入することで節水活動を進め、生産量が3倍に増加したにもかかわらず、水使用量の増加を35%に抑えています。
ジェット式気泡技術を採用した節水型
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新型 洗瓶機リンサー

≪ウォーター・マネジメント アワード受賞≫
英国「ザ・ドリンクス・ビジネス・グリーンアワード」にて「ウォーター・マネジメントアワード」受賞。日本酒の酒蔵としては初。
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≪ビン(ボトル)の再資源化≫
再生可能な透明ビンに静電塗装を施すことで、年間45万本のビンをリサイクル可能にし、環境負荷の軽減に貢献しています。

≪副産物の価値向上≫
酒造りの副産物である酒粕を板粕にして商品化し、また酒粕を使った料理を提供することで、産業廃棄物としての価値を向上させています。

≪酒粕プロジェクト≫
伝統的な関西特有の酒粕文化を広めるため2015年からは『酒粕プロジェクト』がスタートしました。
酒粕を食材として捉え、大阪府や兵庫県の飲食店・ホテルなどに参加いただき、新しい酒粕利用の仕方をそれ以来毎年提案をし続けて、10年を迎えました。


≪地域との防災協力強化≫
当社は神戸市と日産自動車とともに「災害連携協定」を締結し、災害時に電気自動車を活用して市民に電気と水を供給する体制を整備しました。また、神戸市の定める要綱に基づき災害時帰宅支援ステーション事業者として登録し、神戸市への支援を行います。阪神・淡路大震災の教訓を生かし、共助の精神で防災力を高め、神戸市が将来にわたって安心して暮らせる場所であり続けることを目指しています。

≪地域住民との交流促進イベント≫
・新酒の誕生を祝う「蔵開き」を1997年の開館以来、毎年秋に開催しています。
・毎年開催される蔵開きには約5000人が訪れ、地域との絆を深めるイベントを通じて人々とのつながりを推進しています。

≪元旦祝い酒≫
「震災後の神戸を元気づけたい」との思いで2000年より始めたのが元旦の早朝に販売をする「元旦祝い酒」。
しぼりたて純米生酒を年の瀬に瓶詰し、地元の産土神(うぶすながみ)である東明八幡神社の祈祷を受けている福寿の縁起酒です。
毎年約1000本の縁起酒を地域の皆様にお届けしています。

≪酒蔵体験『蔵見学』≫
・手造りの酒造りを知っていただこうと蔵見学を随時行っております。
・蔵開き限定で蔵人による蔵見学を実施
一本のお酒ができるまでに多くの人の手が関わっていることをご理解いただける場となっています。

≪環境保全と生物多様性への配慮≫
純米酒の売上の一部を兵庫県緑化推進協会に寄付し六甲山の環境保全を支援するほか、兵庫県豊岡市のコウノトリ基金に寄付し、コウノトリの野生復帰事業を支援しています。



≪iPS細胞研究財団への寄付≫
ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥氏が理事長を務められる京都大学iPS細胞研究財団に2013年より「福寿 純米吟醸」の売上の一部を毎年寄付しています。

≪NPOとの連携≫
NPO法人ピース&ネイチャーと連携し、地域活性化と持続可能な農業を推進しています。田植えと竹林の伐採作業を行い、地域の農業環境の改善に貢献しています。

≪コミュニティーへの参画および発展≫
障害者就労支援センター「オリンピア岩屋」と共同開発した酒粕バタークッキー製造し、地域社会への貢献と発展を支援しています。

≪コロナ感染防止エプロンなど寄付≫
新型コロナウイルス感染症の防御用品として、エプロンとヘアキャップ各500枚、ゴーグル100個を神戸市に寄贈。

≪地域貢献≫
・毎年、地元の小学生を対象に蔵に隣接するミニ田んぼで酒米「山田錦」の田植えと稲刈りを体験してもらい、米作りについて学ぶ機会を提供しています。
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・兵庫県が実施する地元中学生に職場を体験してもらう「トライやる・ウィーク」の受け入れ先として、毎年生徒のみなさんをお迎えしています。

≪親子で学ぶSDGs 夏休み自由研究お助けワークショップ≫
「福寿純米吟醸山田錦環和」に関連する取り組みを通じて、神戸市や水ing、コニカミノルタ、JA兵庫六甲と協力。各団体が実施する事業や取り組みに基づいた体験型学習を通じて、親子で楽しくSDGsについて学ぶ機会を提供しました。

≪産学連携の取り組み≫
神戸酒心館と関西学院大学が共同開発したZ世代向けの日本酒を開発したり、脱炭素型ライフスタイルおよびエシカル消費を促進するための実証実験事業を行う。

≪王子動物園・動物サポーター≫
神戸酒心館は、ホンドフクロウ保護活動を支援するため「福寿純米酒フクロウボトル」の売り上げの一部を神戸市立王子動物園に寄付し、生物多様性保全や地域社会への貢献を目的とした活動を展開しています。

≪芸術・文化支援≫
修復した酒蔵のイベントホール「酒心館ホール」では、伝統芸能をはじめ様々な催しを開催しております。地元に密着した文化活動を行う姿勢が評価され、2000年にはメセナ大賞(地域賞)を受賞しました。
*「メセナ」とは、企業が行う社会貢献の一環としての芸術文化支援を意味します。



≪光と影のアート≫
2001年に設置された「福寿蔵」の白壁を飾る光と影のアート。
このアートはイタリアの現代美術家 ファブリツィオ・コルネーリ氏によるもの。
阪神大震災からの復興と神戸の繁栄の願い「希望」を手にするというコルネーリ氏の神戸市民への励ましのこまったモチーフです。
コルネーリ氏の思いに共感し、「福寿蔵」の白壁を提供させていただきました。
現在でも夜のアートとしてご覧いただけます。
※国連の定める世界自閉症啓発デー(4月2日)は発達障害啓発週間(4月2日~8日)では、ランドマークのブルーライトアップ活動「LIGHT IT UP BLUE」に神戸酒心館もライトアップ施設として協力しており、この期間はブルーにライトアップをしております。

≪雛人形展≫
日本文化の継承と発信を通じて地域社会との絆を深め、観光資源としての魅力向上やブランド価値の強化を図る意義を持つイベントです。

≪日本の手仕事展≫
伝統工芸の魅力を発信し文化継承に寄与するとともに、地域との文化的つながりを深め、地域と観光の活性化を図ります。

≪地域住民向けの健康イベント≫
日本酒をおいしく飲むには健康第一。年2回、健康測定を実施し、地域の健康を守る取り組みを進めています。

≪ひょうご産業SDGs認証≫
持続可能な社会の実現に向けた企業活動の社会的責任が評価され、「ゴールドステージ」という最上位認証を取得しました。

≪日経・何でもランキング≫
「家族で楽しめる酒蔵レストラン」全国2位(2024年)
「訪ねて楽しい日本酒の蔵元」 全国7位(2013年)

≪兵庫県技能顕功賞≫
湊本雅和
宮本哲也

≪受賞歴≫
兵庫県環境にやさしい事業者賞 2022年
脱炭素チャレンジカップ 優秀賞 2023年

≪グリーン・イニシアティブ<サステナビリティへの旅>≫
2030年に向けて、優先的に取り組むべき重要な分野を「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」の3分野に定め、様々な取り組みを行います。

≪当社におけるSDGsの課題≫
SDGsを経営の中核に位置づけ、長期的にレジリエントなサプライチェーンと強靭なブランドを新たに構築することを目指しています。
(1)地域資源を最大限に活用した持続可能な原材料調達100%を実現する
(2) 環境負荷に考慮し、社会に貢献するものづくりを行う
(3) お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性を向上する