6月のうまいもん/乳酸菌で育てた和牛
乳酸菌を与えて育てた和牛って、実に美味なんです!
脂が軽く、沢山食べても胃がもたれない牛肉
神戸牛に、松阪牛、近江牛。これら日本の三大和牛に対抗して、佐賀牛や飛騨牛など全国各地でブランド牛が誕生しています。今月「さかばやし」に登場する牛肉は、それらとは考え方を異にしたもの。フォアグラしかり、松阪牛しかりで、これまで美味しいとされていたものは、どちらかというと、不健康状態で肥育されたものが多かったようです。それに対しプロテサン和牛は、乳酸菌を使って健康的に育てています。このようなことができるのも乳酸菌のメーカーであるニチニチ製薬がバックについているから。同社は26年間に亘り、乳酸菌を研究開発しており、10もの特許を有す乳酸菌FK-23は、整腸作用に優れ、免疫力や血圧をコントロールする働きがあります。現に伊藤園とチチヤスが共同開発したヨーグルト「朝のYOO」には、ニチニチ製薬のフェリカス菌が使用されているほど。プロテサン牛の名称にもなっているプロテサンとは、前述の乳酸菌FK-23の特徴をいかして造られた機能性食品を指します。ニチニチ製薬の契約牧場(鳥取県にある)では和牛を肥育する際に、エサにプロテサンなる乳酸菌を混ぜており、牛の腸内環境を整えながら健康体として育てているのです。
通常肥育した牛と乳酸菌を与えた牛を比較すると明らかに旨みが異なります。肉自体の甘みもあり、同じクラスの牛肉と比べてもランクが1つアップしたように思えます。普通いい牛肉は、脂の味がいいとされていますが、食べていくと、どうしてもしつこく感じるもの。それがプロテサン牛に限っては、脂がさらっとしていて軽く、胃にもたれないのです。表現としては、脂が喉を通って胃まで落ちて行かない―、そんな風に思えます。赤身もさることながらホルモンは、腸内環境が整っているからか、内臓肉特有の黒ずみもなく、実にきれいで、臭みもありません。ホルモンがダメという人でも好んで注文するそうです。
ニチニチ製薬では、大阪本部の1階の直営店「セルフステーキARITA」でプロテサン和牛を提供しており、高い評価を得ています。そしてあまりの好評ぶりに姉妹店が7月に神戸・北野町でオープンすることになりました。「さかばやし」では、その開店に先がけて6月の1カ月間は「酒心館会席」の一皿や一品料理にそれを盛り込む他、プロテサン牛をテーマにした食事会を6月19日(木)18:30から実施します。沢山食べてもしつこく感じないというプロテサン牛をぜひこの機会に味わってください。
イベントについてはこちらから→ http://blog.shushinkan.co.jp/2014/05/619.html
<プロフィール>
曽我和弘(フードジャーナリスト兼編集者)
雑誌「あまから手帖」に籍を置いたのをきっかけで食に関する執筆を数多く手がける。独立後は、雑誌・書籍などの編集を行う傍ら、幅広い食の知識を用いて飲食店をもプロデュースし、多くの人気店を世に出してきた。著作には「関西風味の本」「瀬田亭の魔法のソース」「おはよう朝日ですの本」「新婚さんいらっしゃい、雑誌になってもいらっしゃ〜い」「カレーライス3/5」などがある。