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5月のうまいもん/淡路島サクラマス

今月のうまいもんさかばやし

さかばやし_今月のうまいもん_201905淡路島サクラマスs

ピンク色に輝くその身には、濃厚かつ上品な旨みが

最近、淡路島のサクラマスが脚光を浴びつつあります。淡路島サクラマスとは、その名からもわかるように淡路島・福良の海で養殖されている鱒(マス)を指します。福良といえば、三年トラフグの養殖で名を馳せた地。トラフグに次ぐブランドとして“淡路島サクラマス”を育てようとしているのです。そもそもサクラマスとは、サケ目サケ科に属する鱒のことで、春頃に遡上することから“桜”の字をつけて、表現するようになりました。サクラマスは、ヤマメが銀化して海に下って成長したもののこと。ヤマメも鱒も元々は同じ魚で、海に下らずに一生を川で終えるものを陸封型として分類し、これがヤマメと呼ばれます。片や川から海へ下って回避し、産卵時に川を遡上するのが降海型で、こちらを鱒と呼んでいます。昔から人気の駅弁で、富山の鱒寿司がありますが、これは降海型の魚、つまりヤマメではなく鱒を用いて作っています。
福良の三年トラフグは、鳴門海峡の速い潮流を利用して育てているのが特徴で、温暖な地の割りには海域の水温が低く、トラフグの養殖に適していました。この環境がサクラマスにも合っていたのでしょう、見事その養殖に成功しています。福良漁港にある若男水産は、一般的には二年の養殖とされるトラフグをさらに一年長く育てることで、三年トラフグとしてブランド化に成功したのです。三年も育てると、体は大きくなり、1.2~1.5kgぐらいまで成長します。そうすることで歯応えもよく、味もいいトラフグが出荷できるようになりました。福良では、フグ養殖の終わった時期に出荷できるものをと考え、サクラマスの養殖に至ったようです。もともと三年トラフグで培った技術と経験、そして環境の良さからサクラマスの養殖はうまくいったそうですが、餌の工夫や成長に合わせて生け簀の場所を移動するなど、様々な工夫も施されての成功だったようです。
淡路島サクラマスは、その名の通り、まさに春が旬。桜の開花時期と合わさってか、その身も美しいピンク色をしています。脂が乗っているわりに味わいは、それほどくどくなく、あっさりめなのがよく、地元では刺身で食したり、丼の素材として用いられたりしているようです。サクラマスの味わいは、3月頃は淡泊なのですが、5月頃になると、濃厚な味わいとなり、脂の旨味が楽しめるようになるのです。脂の融点が低いために、食すと脂がよく乗っているように思えます。
「さかばやし」では、“淡路島サクラマス”としてデビューした2017年頃からこの魚に注目し、以後春になると、会席料理に用いる食材として扱ってきました。2015年ぐらいから養殖がスタートし、ブランド魚候補としてデビューしたのがその二年後。それから淡路島の旅館やホテルでも徐々にサクラマス料理が提供され出して、今やポスト“三年トラフグ”と言ってもいいぐらいなのです。この注目度も相まって「蔵の料亭 さかばやし」では、「5月のうまいもん」として、一品料理や会席料理でもお楽しみいただけるようにご提供する予定です。この機会に兵庫の新たな名産に舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。

(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)

料理長おすすめ「淡路島サクラマス料理」の一品
■淡路島サクラマスのオランダ煮 1,200円
■淡路島サクラマスのオイル漬け 1,500円
■淡路島サクラマスのレモン小鍋 2,500円
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