2月のうまいもん/酒粕料理
酒粕プロジェクトメニューで女子力up!を
酒粕文化存亡の危機を訴えながら始めた酒粕プロジェクトも早いもので5回目の冬を迎えました。当初は有馬温泉の老舗旅館「御所坊」と「さかばやし」の酒粕鍋対決と銘打って始めたものが、年々反響が大きくなり、昨冬は神戸市内の35店舗もの飲食店が当プロジェクトに参加いただけました。そのせいか、今や酒粕料理は神戸の冬の風物詩として復活を果たし、全国的にも酒粕ブームといえるまでに成長しています。
そんな中で今年、岡本商店街とともに打ち出したのは、「酒粕で女子力up!」。酒粕は多くの栄養素を含み、食材の旨みを引き出してくれるだけでなく、美容効果も得られると言われています。美肌や美容にスポットを当てて、酒粕=女子力をテーマとするのは、5回目にして初めてのこと。そんなテーマに最もふさわしい女子大生達が神戸酒心館「さかばやし」の酒粕プロジェクトに参加してくれました。
酒粕プロジェクトの企画を担当するクリエイターズ・ファクトリーの曽我は、本業のフードジャーナリストの傍ら大阪樟蔭女子大学で教壇に立っており、「フードメディア研究」なる授業を担当しています。今回協力してくれたのは、その生徒の皆さん達で、若い人の発想力を持って「さかばやし」の2月の酒粕メニューを考案してくれたのです。大学の授業では、日本酒づくり(工程)と酒粕の特徴や効果を学び、個々に「福寿の酒粕」を手渡しして試作してもらいました。A~Dまでの4チームに分け、考案した料理をプレゼンテーションしてくれたのです。流石に年齢が若いので、酒粕を初めて手にしたという人がほとんどでした。それだけに素材としては新鮮に映り、柔軟な発想で酒粕プロジェクトに挑んでくれたようです。
11月29日の授業内でのプレゼンテーションで勝ち抜いたのはチームBの「ぎゅっと詰め込みました!すきやき風がんもどき」です。これはすき焼きの風味と具材をがんもどきの中に詰め込んだ料理。どうしても鍋物というと、ボリュームがあるためにそれだけでお腹がいっぱいになる欠点がありますが、これなら会席の中の一品として入っていても良いくらいのボリュームに収まり、他の料理と一緒に味わえる利点が生じます。もう一点、チームDが考えた「酒粕料理の過去から未来へ」もユニークな作品でしたので、同時に2月の献立化をすることを決めました。お猪口の中に鯛の焼き物、蒸し野菜酒粕ディップ添え、鯛めしを入れ、順に過去・現在・未来の酒粕料理と謳っています。彼女らは、郷土料理やローカルフードに視点を当て、時間軸で酒粕の使用方法を表現したのです。なぜ未来が鯛めしかというと、「過去にある郷土料理が未来では少しの変化を遂げて帰って来るのだ」そうです。この二作品ともに今までにないユニークな料理なのでこちら側の期待も大きく、「さかばやし」での酒粕プロジェクト・女子力up!の献立として2月18日~28日まで提供することにいたします。
一方、女子大生に負けじと「さかばやし」の加賀爪正也料理長が考案したのが「へんげ(変化)鍋」。最初は貝類などでだしをとり、清酒「福寿」を注ぎ入れた、いわゆる美酒鍋を食してもらい、途中から酒粕を加えて酒屋鍋へと変化させる趣向。いわば、一つの鍋料理で美酒鍋と酒粕鍋の両方が楽しめるというものです。これも酒粕プロジェクトのエントリー作品として2月に提供いたします。
(フードジャーナリスト・曽我和弘)
料理長おすすめ「酒粕料理」の一品
■すき焼き風がんもどき 980円 ※2月18日(月)~2月28日(木)平日限定
■酒粕料理の三種寄せ ~過去から未来へ~ 1200円 ※2月18日(月)~2月28日(木)平日限定
■酒蔵の粕汁 須磨海苔仕立て 700円 ※2月9日~2月24日
■へんげ鍋 5940円 ※2月1日~2月28日
■酒屋鍋 3980円
■酒粕チーズ 1100円
■神戸ビーフの酒粕漬け焼き 50g 5940円
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