神戸酒心館

新着情報

11月のうまいもん/秋のキノコ

今月のうまいもんさかばやし

20170712_Syusinnkan061

「秋の味覚なら、高嶺の花をいっそ目指そうか」

 「松茸が人工栽培できる?!」。今秋このニュースが駆け巡り、世のグルメ達をわくわくさせてくれました。日本の高級食材の代表の一つで、秋の味覚の象徴がこれで手に入りやすくなるのではと、胸が高鳴るのも理解できますが、実はこれはバカマツタケの栽培を指しての話です。加古川の肥料メーカー・多木化学が完全人工栽培に成功し、三年後に商業生産を目指すと言っているバカマツタケは、赤松ではなくコナラやクヌギなどブナ科の木と共生する、いわゆる松茸に似たキノコです。松茸にはよく似ているのですが、本家は少々違ってくるようです。松林ではなく雑木林に生えることや、発生時期もやや早いことから、バカな松茸と称し、バカマツタケと呼ばれています。やはり高嶺の花(松茸)は、どこまでもそれを貫くものなのです。
 少し意味は異なりますが、同じような話が本しめじにもあります。昔から"香り松茸、味しめじ"といわれるように、殊、味に関していえば、しめじの方が高く評価されます。しめじにも色々ありますが、"味しめじ"と呼ばれるのは本しめじのことで、決して価格の安いブナシメジを指すものではありません。大黒しめじ(本しめじ)は、生きた木の外生菌根菌なので栽培が困難であり、天然物は希少品とまでいわれています。ところが、1999年にタカラバイオが赤玉土と大麦などの穀物粒を主成分とした菌糸瓶法なる手法で人工栽培を成功させたのです。ただキノコ通からいわせれば、風味は天然物にはかなわないようで、松茸まではいきませんが、こちらも高嶺の花の地位をまだまだ守っているようです。
 実はさかばやし店長の幸徳伸也はキノコの研究家で、兵庫きのこ研究会の代表も務め、同会で「兵庫のキノコ」なる本まで上梓しているほどのキノコ通。そのため、年に一回は、キノコを"今月のうまいもん"に選び、旬の会もキノコを食にしたテーマで開催しています。某年、店長が提案したのが「しめじの食べ比べ」。一皿に大黒しめじ、ブナシメジ、畑しめじを入れ、その風味の違いを堪能しようというメニューでした。店長によれば「もっと人気が出てもおかしくないのに、もう一つ人気がでないのが丹波しめじ」だそう。丹波しめじとは、先の畑しめじのことで、優秀な食用キノコとして広く知られています。歯切れもいいのでどんな料理にも使いやすく、和食の素材として重宝されます。畑や人家の庭先にも生えることからそんな名前がついたのでしょうが、安易な場所に生えていることもその人気ぶりが上がらない原因かもしれません。キノコの専門家・幸徳店長は「本来なら人気キノコになるはずが、栽培によって大黒しめじ(前述の人工栽培に成功した本しめじのこと)が出て来たために影が薄れたようです」と話しています。
 11月の「さかばやし」では、キノコをテーマに一品料理や会席料理の一部にキノコを提供いたします。キノコの専門家がいるので献立には期待が高まるばかり。個人的な意見として私はキノコがいっぱい入ったキノコ鍋がオススメなのですが、皆様はいかがでしょうか。秋のキノコをいっぱい食して免疫力をつけながら来るべき寒い冬を迎え入れたいものです。

 

料理長おすすめ「キノコ」の一品
■おぼろ豆富のきのこ餡かけ 1,000円
■丹波地鶏の塩麹焼き(きのこを添えて) 2,100円
■特撰きのこと黒毛和牛の小鍋 2,500円
■きのこと穴子の有機野菜の天ぷら 2,900円

IMG_6421
IMG_6446
IMG_6461


※価格は税込みです
※おすすめの品は変更の場合もございます。