神戸酒心館

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6月のうまいもん/霜降り肉を意識した豚肉

今月のうまいもんさかばやし

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地元兵庫が躍起になってPRする「ひょうご雪姫ポーク」

雪姫ポークお洒落なイメージが強い神戸市ですが、実は北区や西区には田畑も多く、農業が盛んな地でもあります。殊に小松菜やホウレン草などの軟弱野菜は高品質で、都市近郊型農業の典型的産物として隠れた名品にもなっています。同じ農業の分野では、畜産があり、神戸というと、牛肉が有名で、その名は全世界に発信されるほど。それくらい神戸ビーフは、旨い肉といわれているのです。
では、豚肉はどうか?このところ徐々に名前が高まっているのが兵庫県や神戸市がPRしている「ひょうご雪姫ポーク」でしょう。この豚肉は、兵庫県下の木村商店(たつの)、定岡畜産(洲本)、協和資糧(宍粟)、高尾牧場(神戸市西区)の牧場で育てられた豚から生産されたもの。ひょうご雪姫ポークブランド推進協議会がエコフィード(パン・麺類などが原料)を配合した飼料を用いて育てた豚を生産し、神戸ビーフのような美味しい豚肉を目指して作りました。
兵庫県畜産技術センターが研究する中で、出荷する前の一定期に食品工場から余剰物として出るパンや麺を多く与えると、一般的に育てられた豚より、ロース肉中の脂肪が三倍以上もあることがわかったのです。まさに霜降り状態の豚肉、刺しが入ることによって牛肉のような脂の旨みが伝わりますし、柔らかさも感じます。日本人が好む肉質といえるでしょう。見た目もさることながら、脂身の舌触りがなめらか。しかも悪玉コレステロールを減らす効果があるといわれるオレイン酸を多く含んでいるのです。一般の豚肉より融点も低いために口溶けがよく、美味しく味わえると評価されています。
「さかばやし」でも6月のメニューに加えるべく、加賀爪料理長が試作したところ「脂が厚い印象で、刺しが多く入り、甘く感じました」との印象が得られました。流石に脂身が旨いとされている神戸牛の霜降り肉を意識して開発されたものだとわかります。「ひょうご雪姫ポーク」になる豚には、前述したように食品製造時に余剰するパンや麺類を飼料に配合しているために、昨今の時流よろしく環境にも優しい、エコな飼育法だといえるでしょう。
「ひょうご雪姫ポーク」は、兵庫県が長年研究を重ね、2009年9月から本格出荷が始まりました。生産者や流通業者が少なく、食べられる所(飲食店)や買える所もまだまだ限られていますが、ひと足先に乗っておくのも手。「さかばやし」でも6月限定で一品料理や会席料理の一皿に使用いたします。ブーム(?!)になる前にぜひ一度ご賞味しておくのもいいのではないでしょうか?
(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)