6月のうまいもん／「おうちで旬の会」はいかが？

由良漁港直送の新鮮素材をセットにして｢さかばやし｣で販売
　今春は、新型コロナウイルスが猛威をふるい、世の飲食店は通常の営業ができず、大打撃を被りました。政府の緊急事態宣言に伴い、｢さかばやし｣も5月24日まで臨時休業をいたしました。これまでの料理やサービスを一部変更しながら営業再開し、時間をかけて蔵の料亭本来のメニューに戻していくつもりです。ところが、回復させたとはいえ、30～40人を集客して行うイベント型の食事会は、まだまだ行えず、少し遠めの目標を立てながら盛夏から初秋にかけての開催を予定しております。
　｢さかばやし｣での食のイベントといえば年に7～8回催す｢旬を堪能する会｣(通称・旬の会)が代表的存在。地産地消を掲げ、地元兵庫県の名産品をテーマに催す同食事会は、生産地と直接パイプを結び、素材の見える化を表現したもの。時には、生産者を招くことで消費者と産地がうまく融合した食のイベントになっています。
　実は、この旬の会も今回の新型コロナウイルス禍で三回ほど企画を中止しました。大人数を集めてのイベント型食事会なので当面は自粛せざるを得ないだろうと｢さかばやし｣では考えています。
　お客様からは｢次回はいつ実施するのか｣との問い合わせも多くいただいており、産地側からもいい素材があがっているのに勿体ないとの声も届いているのは事実。そこで｢さかばやし｣では、この企画を各ご家庭でお楽しみいただけないかと考えました。題して｢おうちで旬の会｣。世間では自粛疲れも起こしているようで、｢ときにはスーパーで売られているような一般食材ではなく、プチ贅沢できるようないいものが食べたい｣との思いが強いと聞き及んでいます。そこで｢さかばやし｣では、｢旬の会｣で使用する産地直送の食材をセットにした｢家庭で楽しめる旬の会｣を提供するのがいいのではとの結論に達したわけです。今回、協力していただけるのは、淡路島由良漁港。同地でセリ値をつける由良漁協の｢海幸丸水産｣に浜であがったばかりの魚介類を直送してもらい、｢さかばやし｣にて鍋料理屋一品料理に仕上げたセットを用意し、毎週土曜日の午後(15：00～19：00)に予約制で販売いたします。
　｢海幸丸水産｣の橋本一彦さんは、｢旬の会｣ではすでにおなじみの人物。いい魚しか売らないとの定評があり、その信用度は東京の豊洲(旧築地の市場)にも轟いています。まず手初めに5月末からは、淡路だこをテーマにした“たこしゃぶセット”を販売。続いて7月からは由良産の“鱧しゃぶセット”を企画しています。｢おうちで旬の会｣セットは、淡路島由良漁港で水揚げされる魚介類を素材として、その時々に旬を迎える魚をテーマに行う予定です。基本は、どなたでも簡単に作れるようにと、鍋類を主とし、由良漁港から直送された魚介類と、鍋野菜をつけて販売。そこに加賀爪料理長がつくる一品料理を加えてお楽しみいただきます。
由良漁港の目利きのもとに届けられた魚介類は、新鮮そのもの。流通ルートを通していない分、一般市場よりも早くご家庭に届けることができます。しかも質の高い高級食材でありながら価格が抑えられるメリットも生じます。ただ、｢さかばやし｣には直接皆様のもとに届けることができないため、土曜日午後にお客様が「さかばやし」に直接取りに来ていただくかしか、お渡しする術がありません。宅配も検討しましたが、それでは一日遅れの配達となるため、どうしても鮮度が落ちてしまい、こちらが目指す＂漁場レベルの品物＂にはなりえません。そのため、多少ご不便をおかけしますが、直接店まで取りに来ていただくことと致しました。
　｢おうちで旬の会｣のテーマ食材は、神戸酒心館｢さかばやし｣のホームページでご案内いたします。これまでの｢旬の会｣に参加されたお客様には、DMにてお知らせする場合もございます。ご注文方法は、1週間前までにご予約をいただき、その週の土曜日午後に商品を店に取りに来ていただくというものです。但し、魚介類は全て天然もののため、予約していても台風や時化(しけ)によって入荷できない場合もございますので、その時は予めご連絡いたします。また料金はテーマとなる食材によって異なるため、当社ホームページ等にてご確認くださいませ。
　新型コロナウイルス禍がおさまらず、新たな生活様式を導入すべき世の中になりつつあるようですが、週末の夜だけは、｢STAY HOME｣と言われてもいいものが食べたい！そんなプチ贅沢を味わいながらもう少し自粛ムードと共存してまいりましょう。
(文／フードジャーナリスト・曽我和弘)

■蛸のしゃぶしゃぶセット　７,８００円
※写真はイメージです

※価格は税込みです
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