神戸酒心館

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4月のうまいもん/神戸元気サーモン

今月のうまいもんさかばやし

202304さかばやし_今月のうまいもん_神戸元気サーモン

「福寿」酒粕を食べて育った神戸の新名産品

 いよいよ待望の「神戸元気サーモン」が「さかばやし」に届きます。今年2〜3月に度々報道されたように、このご当地サーモンの養殖には「酒粕プロジェクト」が関係しています。◯◯サーモンというフレーズを昨今はよく耳にしますが、全国各地でその手の養殖が盛んに行われ、ご当地サーモンとして話題を集めています。兵庫県下でも姫路や南あわじで行われており、その代表格が「淡路島サクラマス」かもしれません。神戸は広く海に面した街なのにも関わらず、歴史的経緯から貿易港のイメージが強く、神戸と漁業が結びつきにくいのが現状です。そんな印象を打破しようと、近年神戸市では「須磨海苔」を盛んにPRし、神戸の漁業について少しでも印象づけてもらおうと活動しています。その活動のひとつが、東須磨で行われている「神戸元気サーモン」の養殖です。
 神戸市漁業協同組合の東須磨サーモン部会では、神戸のご当地サーモンを作ろうと令和3年から活動。その年の12月1日に愛知淡水より約400gのホウライマス系ニジマスを持って来て、須磨区妙法寺川の河口域に生簀を設置して育て始めました。ニジマスは、サケ科の魚。一生を川で過ごす陸封型と、海へ下って再び川を遡上する海降型にわかれます。海へ下るタイプは、大きくなるばかりか、見た目にも異なります。陸封型をレインボートラウト、海降型をスチールヘッドと呼んでいるのは、形が変わって別の魚だと思われていた頃の名残りです。須磨の海に移されたニジマスの稚魚は順調に大きくなり、1.5kgぐらいのものが出荷できるようになったとの話。「せっかく神戸で養殖するのですから、地域性を出したくて餌に酒粕を加えることにしました」と話すのは、東須磨サーモン部会を組織する漁師の一人・奥谷知生さん。彼が言うには、当初はペレットという固形の餌のみを与えていたそうですが、神戸沖で獲れたシラスを与えた方が喰いもよくなったそう。今では、日本スーパーフードとも呼ばれる酒粕を混ぜて餌にすることで、身の色も鮮やかになり、身自体もしっかりして来たと言います。
 神戸では、毎冬毎年2〜3月に「神戸酒心館」が旗振り役となって酒粕プロジェクトを開催しています。関西の有名シェフが「福寿」の酒粕を使い、新しい酒粕の一品を発表する催しです。今年の発表会では「福寿」酒粕を与える「神戸元気サーモン」の取り組みの発表がありました。それ以降、サンテレビのニュースなどが大きく「神戸元気サーモン」の養殖の模様取り組みを報じてくれました。
 先日、漁師の奥谷さんが持って来た「神戸元気サーモン」を試食してみると、まず身の鮮やかさに驚かされます。酒粕を与えたものと、与えてないものとを比較すると、与えたニジマスはオレンジ色が鮮やかで、いかにも身が締まっているようでした。健康的に育った印象を受け、味もしっかりしているのです。奥谷さんによると、「水温が上がって活性化すると、脂乗りもよくなるのでは…」との事。水温が20℃を超えると弱ってしまうために「3月下旬から4月が水揚げ時期だ」と語っていました。「さかばやし」では、その水揚げ時期に合わせて今春は地元産「神戸元気サーモン」を今月のうまいもんとして提供します。会席料理の一部や一品料理でお楽しみいただきます。ぜひこの機会に神戸の新たな名産品を味わってみてください。

(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)

料理長おすすめ「神戸元気サーモン」の一品
■神戸元気サーモンの昆布締め       1,100円
■神戸元気サーモンの桜蒸し        1,200円
■神戸元気サーモンのお造り        1,300円
※料理長おすすめの一品は事前にご予約ください。
※写真はイメージです