神戸酒心館

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3月のうまいもん/酒粕料理

今月のうまいもんさかばやし

明石浦漁協とコラボした「浦サワラの吟醸粕漬け」は、稀少な一品

JR明石駅から南西に歩くと明石浦漁港に至ります。ここで明石ダコや明石鯛など様々な魚介類が水揚げされます。明石浦漁協のセリ担当・宮﨑鉄平さんの話では、「明石の名産は、凧(タコ)に乗り(海苔)たい(鯛)」と覚えると良いそうです。全国的に知られた明石ダコ、明石鯛、明石海苔は、今や兵庫県を代表する名産品で、これらは全て明石浦漁協を通じて出荷されています。これら三つのブランドに続けとばかりに明石浦漁協がPRしているのが「浦サワラ」。明石で水揚げされた鰆は、脂乗りがよく、他地域のものと比べても品質がいいことから同漁協では、秋に獲れた鰆のうち脂乗りが良いものを「浦サワラ」と称し、ブランド化を図ろうと4年前から取り組んで来ました。
鰆はその字が示す通りに春が旬だと思われがちですが、実は秋のほうが美味で、脂乗りも良いのです。明石浦漁協では、10〜12月にかけて獲れた鰆を専用の検査機にかけてカットせずに魚体のまま測定します。脂肪率5%以上なら「上旨」とし、黄色のタグを付け、10%以上を「特上」として赤色のタグを付けて競りに掛けています。競り落とす側もタグが付いているのでランクがわかるとあって便利。その稀少価値に納付して値付けをするようです。
「さかばやし」では、その「浦サワラ」の良さに目を付け、明石浦漁協と協力をして、毎年恒例となった酒粕プロジェクトで新たな酒粕料理を提供することとなりました。酒粕プロジェクトは、毎年寒の時季(2〜3月)に催されるフェアのため、当然「浦サワラ」の出荷とは異なります。そこで「さかばやし」では、晩秋に「浦サワラ」を同漁協から仕入れたものを「福寿 純米吟醸 酒粕」で粕漬けにし、冷凍保存しました。酒粕プロジェクト2024で発表すると共に3月に期間限定品として提供いたします。期間限定品としていますが、お早めのご予約が必要。なぜなら「浦サワラ」は希少で数量が少なく「浦サワラの吟醸粕漬」も準備数量が多くはないため、なくなりしだい今期の提供は終了となるからです。
それが売り切れてしまった場合は、女子大生が考案した「酒粕稲荷と天ぷら」をどうぞ。同作品は、大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科の3年生(瀬川佳奈美さん・植村文音さん・窪田歩香さん・高橋実来さん)が「フードメディア演習」の授業内で考えた酒粕料理で、昨年12月のプレゼン大会を見事勝ち抜いて「さかばやし」で商品化することとなりました。同大学の卒業生に作家の田辺聖子がいることから、彼女の著書「芋たこなんきん」にちなんで、タコ・里芋・カボチャを具材に用いたようです。学生によると、「薄揚げを煮る時に酒粕を混ぜ、その風味が出るように工夫したのだ」とか。寿司飯の具材にタコの柔らか煮と里芋を用いたのですが、流石にカボチャまで挿入すると寿司飯が甘くなりすぎるので、カボチャのみは外に出し、酒粕を挟んで天ぷらにしています。この天ぷらがなかなかオツで、挟んだ酒粕の風味がドンと伝わり、カボチャの甘みともマッチしています。この女子大生が考案した料理も酒粕プロジェクト2024の出品作として発表。2〜3月の2カ月間、平日限定(要予約)で、「さかばやし」で提供しています。
2〜3月は酒粕プロジェクトの季節。兵庫・大阪・和歌山など各地で「福寿」の酒粕を使った酒粕料理が提供されています。「さかばやし」でも酒粕を「3月のうまいもん」として様々な酒粕料理を提供していますので、ぜひこの機会に神戸の郷土食材「酒粕」を用いた料理をご堪能ください。

(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)
2024年3月

平日限定 酒粕料理
「浦サワラの吟醸粕漬」「酒粕稲荷と南京天ぷら」はこちら

料理長おすすめ「酒粕」の一品
■帆立貝の酒粕和え  880円
■酒粕ちー寿(チーズ)      1,100円
■豚肉と白菜の酒粕煮       1,000円
■粕汁小鍋            1,500円
■粕汁おでん           1,300円
※おすすめの一品は予約にて承ります。価格は税込価格です。
※写真はイメージです。